「もっと“ヒラ”かれた『ヒラクル』を目指したパワーアップ企画」の第一弾として、「“よりよく生きる”ってどういうこと?」の直球メッセージでご好評をいただいている「SALUS Well-being」とのコンテンツ連動をスタートします!
今号の「ヒラクル・ヒントコラム」では、2023年11月6日発行のSALUS Well-being第2号の巻頭特集「幸福学の第一人者・実践者 前野隆司×マドカ氏に聞く~『人は誰でも幸せになれる?』」を前編・後編に分けて掲載、その後は、紙面の関係で紹介しきれなかった“(未公開)こぼれ話”も、続々ご紹介して参ります。
それでは、早速「人は誰でも幸せになれる?《前編》」をお楽しみください!!
ここ数年、「ウェルビーイング」という言葉が、急激に注目を浴びるようになりました。もともとは、世界保健機関(WHO)の憲章のなかで「健康」の定義(下図参照)としてうたわれた言葉でしたが、近年日本では「幸せ」という意味で使われることが多くなっています。なぜ、今ウェルビーイングが注目されているのでしょう。ひとつは、研究の成果が上がってきたことです。欧米では、心理学者を中心にウェルビーイングの研究が進められてきましたが、幸せな人は創造性が3倍高いこと、寿命が7〜10年長いことなどがわかってきています。もうひとつは、社会的なニーズ。時代の閉塞感をなんとか払拭して、元気で幸せな方向に向かおうとする世のなかの動きの表れだといえます。
では、私たちはどうすれば幸せになれるのでしょうか。幸せは「運」だと考える人も多いかもしれませんが、実はそうではありません。幸せのメカニズムを理解して、それに対してアクションを起こすことで誰でも幸せになれます。日本における幸福学研究の第一人者である前野隆司氏、マドカ氏ご夫妻に、幸せに生きるための条件、そしてヒントを教えていただきました。
Question 1
「人生が幸せだと感じる」「そう思えない…」
その違いはどこからくるのでしょう?
多くの人が自信を持って、自分は幸せだと思っていいはずなのですが、「もっとこうしたい」「こうでなければ」と、自分自身で幸せのハードルを上げてしまっているような気がします。たとえば、家族で一緒に食卓を囲むことや、食事がおいしいと思えることだって十分幸せなことですよね。「うれしい」「楽しい」「ワクワクする」といった前向きな感情は、日常会話のなかでどんどん言葉にして発してほしいと思います。そうしたポジティブな気持ちはほかの人にも連鎖しますし、大人が口に出すことで、子どもたちも「家族でご飯が食べられることは幸せなことなんだ」と理解して成長するはずです。
ランニングをしたりヨガをしたり、健康に気をつけていることを人に話すのと同じように、幸せな感情も自分のなかだけで完結させる必要はありません。「自分の言いたいことをはっきり口に出すことで幸せになれる」という研究結果に基づいた事実もあるので、ポジティブな感情を口に出すことは、幸せだと感じるための有効な手段のひとつです。日々忙殺されて、なかなか普通の幸せに気づきにくい時代かもしれませんが、たまには立ち止まって皆さんの周りにある幸せに意識を傾けてみてください。
前野隆司 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。同大学ウェルビーイングリサーチセンター長。ウェルビーイング学会会長。幸福学、幸福経営学などの研究に従事。
前野マドカ 慶應義塾大学大学院SDM研究科付属SDM研究所研究員。幸せを広めるためのワークショップ、コンサルティング、研修活動およびフレームワーク研究・事業展開などを行っている。
Question 2
そもそも幸せとはどのような状態なのでしょう?
世界中で行われているウェルビーイングの研究結果を基に、私(隆司氏)が因子分析で導き出したのが、「幸せ」を成り立たせるための4つの因子と幸せのメカニズム(下図参照)です。夢や目標を掲げ、主体性を持って自己実現や成長できることが幸せ=「やってみよう!」因子、他者とのつながりや感謝、思いやりを持つことが幸せ=「ありがとう!」因子、前向きかつ楽観的で、何事もなんとかなると思えるポジティブな気持ちでいることが幸せ=「なんとかなる!」因子、他者と比べず、自分らしさを持つことが幸せ=「ありのままに!」因子と、それぞれ名前をつけました。つまりこの4つの因子を満たしていることが、幸せな状態だといえます。
幸せを実現するには、3ステップあると考えてください。まず、幸せについてのメカニズムを理解すること。次に、自分は4つの因子のなかでどの要素が高く、どれが低いのか把握すること。最後はそれに対してアクションを起こすことです。たとえば「ありがとう」因子を高めるには、ジョギング中にすれ違った人にあいさつをする、飲食店の店員さんに「おいしかったです」と話しかけてみるなど、声を出して積極的に人とかかわることは効果的な方法です。
① 幸せについてのメカニズムを理解すること
Question3
人は誰でも幸せになれる?
幸せはコントロールできるもの?
幸福学を知らない多くの人は、幸せはコントロールできないもので、生きてみなければわからないと思っているかもしれません。でも、幸せも健康と同じように、“気をつけられる”ものです。日本人は先天的に心配性の人が多い傾向で、心配性の人は幸福度が低い傾向にあります。では、生まれつき心配性の人が幸せになれないのかというと、そうではないことがわかっています。心理学の研究で、性格は半分が先天的、半分が後天的といわれているので、生まれてからの環境と自分の努力次第で、誰でも幸せになれるということです。
Q2で、4つの因子を満たしていることが幸せな状態だと説明しましたが、4つの因子を満たすためには、自分の今の状態や状況を冷静に把握して、自分は何にホッとするのか、何が必要かを理解することが大切です。ただ、多くの人はこのように自分を客観視することが苦手です。これを鍛えるためにおすすめしたいのが、「書き出す」という方法です。試しに、毎日の就寝前に今日あったいいことを3つ書き出してみてください。ひとつもなかった、という日はないはずです。これを続けることで、自分のことをより俯瞰【ふかん】的に見られるようになってくるはずです。
前野隆司先生の著書『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 』(講談社)。体系的に幸福学について書かれており、発行から約10年、多くの人たちに読まれている。
Question 4
幸せでいるためにはハード面のメンテナンスも大切?
「幸せな人は健康である」という研究結果があるように、幸せでいるためには、健康診断や運動を心がけるといった身体的なメンテナンスはやはり必要だと思います。先日ワークショップに参加された年配の男性は、毎日散歩に行くことを日課にしているそうですが、そのときに道ですれ違う人に自ら声をかけて「おはようございます!」「こんにちは!」と、元気よくあいさつをするそうです。それが自分の健康法だと話されていました。
ただ、WHOの健康の定義のなかに「健康とは、単に疾病や病弱な状態ではないということではなく、身体的、精神的、そして社会的にすべてが良好な状態」とあるように、必ずしも病気や障がいがないことが健康という意味ではありません。どこかが悪いからといって悲観的になるのではなく、たとえば膝が痛くなりやすい人は日頃から気をつける、目が悪い人は眼鏡をかけるといったように、個々の状態に合わせてメンテナンスをしていけばいいのです。何より、自分をいたわって大切にしなければ、幸せを感じることもできません。そのときの自分の状態に合わせて幸せを感じられることこそが、「健康」といえるのではないでしょうか。
《前編》終わり
幸せも健康と同じように、メカニズムを理解して、自分のことを俯瞰的に見て、気をつけて毎日を過ごすことで、人はだれでも幸せになれるはずなのですが、それを実践していくのは、意外と難しいですよね。
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